昨年12月中旬には、建造する長崎造船所の香焼工場(長崎市)を宮永社長が視察に訪れて完成間近とみていた。年明け1月12日に一番船で火災が発生して納期遅れが心配されたが、4月30日に予定されるクルーズへの影響はないとしている。ただ、追加の特損を計上する可能性もある。
大型客船の受注額は1000億円程度とみられるが、三菱重工の特損の計上額はこれを大きく上回り、高い授業料となった。大型客船の市場は成長が期待されているが、桁違いの損失を出すリスクもある。今後について、宮永社長は「2隻の納入が終わってから考える」とし、“撤退”の2文字もよぎる。
一方、川崎重工とIHIはブラジルの造船事業で特損を計上した。ドリルシップを使う予定だった国営石油会社ペトロブラスをめぐる汚職問題で、現地の事業が止まっているためだ。