ホンダは22日(日本時間23日未明)、米アリゾナ州で小型ビジネスジェット機「ホンダジェット」の納入開始を記念した式典を開く。自動車開発で培った燃費性能や機内空間などへの評価は高く、受注はすでに100機を大きく上回る。世界の成長市場に参入し、自動車や二輪車、汎(はん)用(よう)機に次ぐ第4の柱に育成する。
式典には八郷隆弘社長も出席し、創業者・本田宗一郎の夢とされる航空機事業への参入を祝う。1986年の基礎研究着手から30年を経て、いよいよビジネスが本格化する。
事業子会社、ホンダエアクラフトカンパニーの藤野道(みち)格(まさ)社長は、「(新規参入で)ホンダや、日本企業にとって大きなマイルストーン(画期的な出来事)を達成できた」と語る。
7人乗り(パイロット含む)のホンダジェットは最高時速778キロで、航続距離は東京-北京間に相当する2185キロ。特徴は主翼上に配置したエンジンだ。従来のジェット機は胴体後部に搭載するが、主翼上にすることで胴体内のエンジンを支える構造を省き機内空間を広げた。
また、機体にアルミよりも軽量な複合材を使うことなどで燃費性能は他社の同型機に比べて17%高めた。
昨年12月から1機450万ドル(約5億3千万円)で納入を始め、2016年は約50機を納入する予定。受注状況をみて18年に最大100機まで生産を増やす。
同社によると、過去10年の世界の小型ジェット機市場は年平均約270機。米国などで、大陸内の迅速な移動が必要な起業家らの需要が大きい。経済成長に合わせて今後10年の市場は年300~400機程度まで拡大する見込み。米セスナなどの競合メーカーがいる中、ホンダには整備体制の充実など課題もある。