第二次大戦で活躍した傑作四輪駆動軍用車が誕生してから75年を迎えた。タフギアの代名詞ともいえるジープの歴史を追った。
■地雷を踏んでも走り続ける車を作れ!
1940年6月、アメリカ陸軍はバイクや改良したT型フォードの代わりとなる「軽偵察車」の開発を135の企業に向けて打診した。それは、「600ポンド(約272kg)の荷物を搭載できる、車重1300ポンド(約590kg)以下の3人乗り四輪駆動車」というスペックであった。それは大変厳しい条件であり、応募したのはウィリス-オーバーランド社とアメリカン・バンタム社だけであった。後にフォード社も参画し、3社による開発競争が始まった。
ウィリス-オーバーランド社は『ウィリス クアッド』を開発し、試作車を納入した。一説では地雷を踏んで2輪が壊れても、予備タイヤを装着して3輪で100kmの間を走れるように開発しろという要求があったとされる。以上の条件などを考えると590kgという車重は現実的ではなく、2160ポンド(約980kg)以下にするよう、後に変更された。