東芝は27日、不正会計を主導した旧経営陣5人を相手取った損害賠償請求訴訟で、賠償額を計3億円から計32億円に拡大したと発表した。金融庁から納付命令を受けていた課徴金73億7350万円を同日納付したことや、決算の修正作業をした監査法人に約20億円を支払ったため、請求額を増やした。
東芝は昨年11月、社長を務めた西田厚聡、佐々木則夫、田中久雄の3氏と、副社長だった村岡富美雄氏、久保誠氏に計3億円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴した。課徴金の根拠となった平成24年と25年の各3月期に関する有価証券報告書の虚偽記載などで、5人が関与した度合いを考慮し、請求額を決めた。
東芝の監査委員を務める古田佑紀弁護士は同日、東京都内で会見し、今後の請求額の拡大について「現時点ではないが、新たな損害が発生すれば請求する」と述べた。第1回口頭弁論は21日に開かれ、5人は争う姿勢を示している。
また東芝は27日、会計監査人を28年度からPwCあらた監査法人に変更すると発表した。東芝は一連の不正会計を見抜けなかった新日本監査法人の交代を検討していた。