バーチャルリアリティーを活用した「防災・減災訓練システム」のデモコンテンツによる、災害の疑似体験【拡大】
映像体験システム開発のブイテック研究所は、バーチャルリアリティー(VR、仮想現実)を活用した防災訓練システムの採用を自治体などに働きかけている。想定を超えた大災害は体験しないと分からないことが多く、VRで事前に疑似体験することで、災害時に適切に対処できるようにする。年内に第1号の成約を目指す。
同社の開発したVRによる「防災・減災訓練システム」は地震や津波、洪水のほか、噴火、台風、崖崩れなど、災害現場に近い状況を体験できる。
表示装置のヘッドマウントディスプレー(HMD)を装着して目と耳を完全に覆い、模擬災害を映像化したコンテンツを視聴する。
コンテンツは米国のコンテンツ制作会社、エンブレマティックグループ(カリフォルニア州)と共同開発した。
同社は2014年、世界経済フォーラムからの委託でシリア難民の現状を世界に伝えるコンテンツ「プロジェクトシリア」を制作。ブイテック研究所は、これをデモコンテンツに使用している。シリアのアレッポの街中に打ち込まれたロケット弾の着弾音、その場に居合わせた人が逃げ惑う怒号など、ジャーナリストが現場で取材した音源をそのまま用いている。実際の映像、画像を基にVRで再現して、自分がその場にいるような疑似体験ができる。
訓練システムの開発は、ソニー仙台テクノロジーセンターの現場責任者だった海老根義人社長が、東日本大震災で被災したことがきっかけとなった。