5日の決算説明会で、2016年3月期の最終利益見通しを上方修正したトヨタ自動車。ただ、円安効果の縮小で増益ペースは鈍っている上、部品調達先の愛知製鋼知多工場(愛知県東海市)の事故で国内工場の停止に追い込まれるなど、リスク対応の難しさにも直面している。
「変化に迅速に対応できる経営基盤の構築に、引き続き取り組んでいく」
同日の決算説明会で、トヨタの大竹哲也常務役員はこう気を引き締めた。16年3月期の見通しは最終利益に加え、グループ販売台数も1005万台に上方修正したが、手放しで喜ぶ状況ではない。
15年10~12月期の3カ月をみると、営業利益は前年より約400億円少ない7222億円で、14年1~3月期以来の減益だ。対ユーロなどで円高が進み、為替変動によるプラス効果が剥落。北米以外の全地域で販売台数を減らしたことも追い打ちをかけた。足元では対ドルでも円高が進んでおり、業績の下振れリスクがくすぶる。