□ルーセントドアーズ社長・黒田真行氏
洋服で言う着心地や、車の乗り心地などと同じように、仕事にも「働き心地」という概念があります。転職活動の際には「給与」「職種」「業界」「休日」などのデータ的な条件が重視されやすいのですが、この働き心地は明確に可視化されていないがゆえに仕事を選ぶ際のものさしとしてはほとんど流通していません。
しかし、この心理的条件は、職場で気持ちよく働いていく上で、現実にかなり重要なウエートを占めています。希望の業界、希望の職種、理想の年収などのスペックがそろっていても、働き心地がかみ合わないと、数カ月でメンタルダメージを受けて離職してしまう、というケースすらあります。「やりがい」という言葉でざっくり一くくりに表現されることも多い働き心地ですが、人それぞれの志向や価値観、行動スタイルによって百人百様のバリエーションがあり、かつ、その重みにも多様性があります。
例えば、「顧客にじっくり向き合って信頼関係を構築し、高品質・高付加価値を作り上げたい」という志向の人が、「効率主義で、面談の質よりも1日当たりの接触顧客数を重視する」という方針の企業に入社したら、あっという間に満足度は低下します。理想の給与や希望の業界という条件だけでは解消できない、致命的なずれになる場合もあります。
この働き心地を構成する基幹項目を挙げるだけでも、下記のように多様なバリエーションがあります。