翌14日の第2集「“武士”700年の遺産」では、鎌倉時代の武士に育まれた「名こそ惜しけれ」の精神という「内的要因」に注目。私利私欲は恥という考えが、近代の日本人にもどれだけ影響を与えたのかを探るべく、鎌倉(神奈川県)を中心に取材を重ねた。司馬が4人の担当編集者と交わした数十通の書簡も初公開される。「司馬さんが作品ではあまり書かない時評や憂いを吐露している」(谷口氏)という。
谷口氏は「この数年、外国人から見た日本や日本再発見がテーマの番組が増えるなど『日本人論』がある種の流行になっている。それだけ今の日本が国際的、経済的に自信を失っているのだと思うが、当時、司馬さんが考えたり、憂えていたりしたことは、今を生きる現代人に宛てられたメッセージだと改めて感じている」と話している。