JR各線では最近、新幹線が開業すると並行する在来線は経営から切り離され、自治体と民間が運営する地元密着型の第三セクターになる。遠距離客が見込めなくなるからだ。
あいの風とやま鉄道も昨年3月の北陸新幹線開業まではJR北陸線で、「はくたか」や「サンダーバード」など多くの特急列車が往来する主要幹線だった。
それも今は昔。米原(滋賀県)と直江津(新潟県)を結んだ同本線のうち、富山県の石動(いするぎ)(小矢部(おやべ)市)と越中宮崎(朝日町)間の約100キロが切り離されてその路線となった。短編成普通列車が主体で、並び立つ山々をバックに走る姿は健気(けなげ)にも見える。
それでも冷たい北風が吹きつける雪のない冬のある日、常願寺川鉄橋で撮影をしていると貨物列車が走ってきた。電気機関車EF510、通称「エコパワー RED(レッド) THUNDER(サンダー)」が長大な貨物を牽引する、北陸線時代の懐かしい景色に出会うことができた。