神戸製鋼所 圧縮空気蓄電システム「空圧電池」 風力発電の出力変動抑制 (2/2ページ)

2016.2.29 06:15

神戸製鋼所が開発に着手した空圧電池ユニットのイメージ図

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  • 2段型スクリューエアタービン発電機

 スクリューエアタービン発電機は、回転に伴い2本のスクリューのかみ合わせで構成されるV字形の空間が膨張。これによりタンクから圧縮空気が吸引されて大気へ減圧膨張して排出される。スクリューにかかるこの空気の圧力差の力で発電機を回す。水力発電で水車を導水管内の水の重さで回転させ発電するのと似た発電原理だ。

 温冷熱活用し効率アップ

 空圧電池は圧縮行程で温熱、膨張行程で冷熱が発生する。この温熱・冷熱を活用できればエネルギー効率が上がる。このため大型データセンターなど冷房需要や暖房需要、温水需要にも対応できる。また工場や焼却場などの排熱を膨張過程に取り込めば発電量を増加できる。単に充放電効率という見方ではなく、トータルでのエネルギー効率として考えれば、化学的電池より効率が高くなる。

 また煤煙や二酸化炭素(CO2)などを排出せず、フロンなども使用していない。危険物がない上、環境保護の観点からも設置への反対運動は起きにくい。

 今後は60%超にとどまる充放電効率を高める。また設置場所は機械設備と鋼製タンクで構成されるので比較的自由度が高いが、化学的電池と比較して劣る設置面積は高圧化により縮小を目指す。コストは試験機ベースでは1キロワット時当たり30万円以上だが、将来的には十数万円、1キロワット時当たりでは数万円になる見込み。

 神鋼は神戸総合技術研究所(神戸市)で小型実証機を作って配線・配管し、制御など見直しながら先行実験を開始。今後は500キロワットを標準ユニットにして静岡県内に1000キロワットクラスの実証機を設置。2016年秋以降に稼働させ、17年度から本格拡販を図る計画だ。(松岡健夫)

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