そう考えてみると、太陽暦(正確には太陽暦の中のグレゴリオ暦)を採用してから、まだ143年しか経っていないことになる。
遣隋使、遣唐使の時代から、漢字とともに多くの文化が中国から日本に伝わってきた。太陰暦もその一つであろう。その後長く太陰暦が採用され、江戸時代には一部修正された寛政暦・天保暦(太陰太陽暦)なども採用されるものの、基本は太陰暦であった。
その意味で、中国の人が「春節をなぜ祝わないのですか」と問うことも分からないわけではない。現に、太陰暦のお正月を祝う国は多く、中国、台湾、韓国、ベトナムなど東アジアの国・地域では、年に一度のビッグイベントとなっている。
東アジアの国・地域も、正式な暦としては太陽暦のグレゴリオ暦を採用しているが、習慣などでは、依然として太陰暦のことを尊び、春節などのイベントは現存している。
◆出勤、休日など配慮
これは一例であろうが、職場でアジアの人たちが多くなり、その比率が増えてくると、欧米的な考え方のみならず、アジアの人たちの文化・習慣を理解し、出勤日や人事においても、彼らの考え方を考慮して進める、いわゆるアジアン・マネジメント力が必要になるのではないだろうか。
これは必ずしもアジアに限定すべきではないが、地政学的、歴史的に近いだけにより配慮が求められる。その際に留意すべき点は以下であろう。
・アジア系の人たちに根付いた文化、習慣を理解し、その価値観を大切にする。
・出勤日、休日などは出身国の事情に配慮していく。
・アジア系の祖国とは、地政学的に近く、歴史的にも古い関係だけに、政治的な動きにより変動が起こりやすい。これらに対してもセンシティブな対応が求められる。
・昇進や昇格などの人事においては、判断基準の明確化が求められる。