東芝メディカル売却はキヤノンに独占交渉権

　東芝は９日、医療機器子会社、東芝メディカルシステムズ（栃木県大田原市）の売却先としてキヤノンに独占交渉権を与えたと発表した。売却額は６千億～７千億円規模とみられる。入札では富士フイルムホールディングスとの一騎打ちとなったが、価格面からキヤノンを選定した。１８日までに最終合意を目指す。

　東芝メディカルは、画像診断装置の世界シェアが４位で、売上高は４千億円程度。医療分野は成長性が高く、１月下旬の１次入札は１０社程度が応札。３月上旬の２次入札にはキヤノン、富士フイルム、コニカミノルタと英投資ファンド連合の３陣営が応札した。

　キヤノンは３陣営で最高額を提示。富士フイルムも近い水準を提示したが、９日の取締役会では重複事業が少なく、買収手続きを迅速に進められるとしてキヤノンが支持され、同社への独占交渉権の付与が決定したとみられる。

　キヤノンはＸ線撮影装置などを手がけ、売上高は数百億円程度。主力のカメラ事業が伸び悩んでおり、東芝メディカルの買収で医療機器事業の拡大を目指す。

　東芝は平成２８年３月期の連結最終損益で７１００億円の赤字を見込む。