■NECなど19年度実用化目指す
東日本大震災から5年という節目を迎える中、橋やトンネルの点検の重要性が高まっている。NECは千葉大発ベンチャーの自律制御システム研究所(千葉市)などと共同で、小型無人機「ドローン」に搭載したカメラや打検機で収集した画像や音から、ひび割れなどの異常を検知する技術を開発している。2019年度にも実用化したい考えだ。ドローンが防災に役立つ日が近づいている。
12年12月に中央自動車道笹子トンネル(山梨県)の天井板が崩落し、9人が死亡した事故を契機に、政府は14年7月から道路会社など道路管理者に対し、5年ごとの目視による点検などを義務化。その健全性を4段階で診断するようにした。
NECなどが開発したドローンは一定速度で飛行しながら、トンネルの壁や橋桁を撮影して膨大な数の画像を収集。これを基にコンピューターで、全体が確認できる3D画像を作成できる。さらに金属棒でたたき、マイクなどで音を検出して、ひび割れなどの有無を調べる打検機も搭載した。
NECの交通・都市基盤事業部グローバルシステム開発部の西沢俊広マネジャーは「高所の点検では、足場を組み立てるなどしなければならないが、ドローンを活用すれば、こうした手間が省け、作業効率が大幅に向上する」と利点を説明する。
既に昨年11~12月に、本物の橋や模擬トンネルでドローンを使って現場検証を実施。その結果、異常が認められる箇所では、打音が健全な箇所と比べて全体的に高い音圧となることなどが分かった。