従来鋳鉄製だったシリンダーブロックはガソリンエンジン並みにアルミ製になる。またエンジン本体内部の機械抵抗が小さくなったため、エンジンそのものの重量も減少、とりわけ回転する部品の軽量化も顕著になった。
なかでも、ピストンの上下運動を回転運動に変換する役割を持つクランクシャフトの直径が従来の61ミリから52ミリと小さく細くなり、ピストン1個の重量も570グラムから460グラムへと軽くなった。寺沢によれば、回転系の機械損失がエンジンの抵抗・損失全体の半分を占めるという。したがって、この重量削減によって、低圧縮化ディーゼルエンジンの機械抵抗の値は、従来の同社のガソリンエンジン並みにまで低下した。
革新的な開発のカギは意識改革にある
この回転部品の軽量化と機械抵抗の減少は、さらに、従来のディーゼルエンジン以上の高回転を可能にする。従来は毎分4000回転程度だったものが、5000回転以上にまで上昇させられるため、高速走行でも軽快な運転感覚が得られるようになった。つまり、従来の“高速域が苦手”というディーゼルエンジンの弱点の克服にもつながったのだ。