ディーゼルエンジンの圧縮比14という低圧縮化に成功したことによって、マツダのエンジニアは、「動力性能の向上には高圧縮比の維持が必要、ただし高圧縮にすると環境性能の向上が困難になる」というディーゼルエンジン開発における常識的な二律背反の技術課題に一気に答えを出した。
ディーゼルエンジンの低圧縮化によって、以下の4つのメリットが生まれた。
(1)NOxの除去装置を文字通り“除去”、消費者の維持コストも同時に削減。
(2)エンジン本体の軽量化と同時に、(1)の除去装置の廃止に伴う一層の軽量化。
(3)(2)がもたらす全速度域における軽快な運転感覚。
(4)車両価格が高いというディーゼルエンジンの負のイメージを払拭。
このエンジンは、2014年9月に施行されたこれまでで最も厳格といわれているEUの排気ガス規制ユーロ6を、NOxの除去装置なしでクリアしている。これはマツダのエンジンだけにしかできない芸当だ。
したがって、マツダに限っては、あのフォルクスワーゲンのようなスキャンダルが生まれる可能性は全くない。