同社を買収して06年に携帯電話事業に参入したソフトバンクはこの仕組みを基に、携帯電話端末代金を24カ月の分割払いとし、頭金や毎月の分割料金を割り引く制度を導入。ドコモとKDDIも追随して業界で一般的な契約形態になった。
総務省の有識者会合が15年7月にまとめた報告で「2年縛り」の是正を求めたのを受けて、携帯3社は一度、自動更新の見直し方針を打ち出したが、9月に始まった携帯料金引き下げ論議によって優先順位が逆転。ライトユーザー向け料金プラン導入と実質0円端末の見直しには対応する一方で、高止まり料金の見直しは「ほとぼりが冷めるまで死んだふり」(携帯大手幹部)を決め込んだ。
ドコモ発表に関心
しかし、係争を通じて明らかになったように、「2年縛り」で事業者の実損害と違約金額の関係は灰色のまま。料金引き下げ論議も2年縛り見直しも携帯販売のゆがんだ顧客争奪戦の是正を求めたものにほかならない。「業界正常化のチャンスにすべきだ」(野村総合研究所の北俊一上席コンサルタント)という意見を携帯大手の経営トップはどう受け止めるのか。ドコモが近く発表する新たな「2年縛り」が関心を集めそうだ。(芳賀由明)