ワクチンや血液製剤を国の承認とは違う方法で製造し、業務停止命令を受けている化学及血清療法研究所(化血研、熊本市)は、製薬大手のアステラス製薬と関連事業の売却交渉に入った。化血研は、主力のB型肝炎ワクチンなど代替品のほとんどない製品が多く、事業売却が決まれば安定供給の確立につながる。一方、アステラスは需要の拡大が見込まれるワクチン事業への進出に弾みをつけたい考えだ。
化血研は、厚生労働省から過去最長となる110日間の業務停止命令を受けている。両社は、業務停止期間が終わる5月上旬までに売却の対象や条件を詰める方針。
アステラスは8日、「事業承継に向けて化血研と協議を進めている」とのコメントを発表。化血研も同様のコメントを出した。事業譲渡や他社との経営統合を検討するよう求めている塩崎恭久厚労相は、同日の会見で「いろいろな可能性の中で何がベストかよく考えてもらいたい」と述べた。
アステラスは、2005年に山之内製薬と藤沢薬品工業が合併して誕生した。化血研とは旧藤沢薬品時代から関係があり、現在も化血研が製造するインフルエンザワクチンなど9種類を仕入れ、医療機関に販売している。これらの製品を含むワクチン事業の売上高は約400億円にのぼる。