◆金銭的リスク少ない
--起業家養成キャンプを運営していた経験がありますね。日本の若者は起業について何を一番不安に思っていますか
「起業に失敗することを実際よりずっとひどいことだと想像しています。『破産する! ホームレスになってしまう!』と思い込んでいますが、そんなことにはなりません。失敗したって死ぬことはないとそのうち気付きます。最悪の事態と言っても、結局他の会社で働くことになる、というだけです」
--20年前は多くの創業者が個人的に借金をしていたから、まだそんな風に思うのではないですか。今のスタートアップは、ほとんどが株式の発行を伴う資金調達を選びます
「たしかにそうですね。かつては会社が倒産すれば、財政的な立ち直りがとても難しかったのは事実です。それに比べれば金銭的なリスクはかなり小さくなっています。個人的に借入金を保証する必要はありません」
--いずれは業界に破壊的な変革をもたらしたいということですが、具体的には
「会社の事務・管理部門はいずれすべて自動化されて、コンピューター自ら学習するディープラーニング(深層学習)によって、バックオフィスは今よりもずっと小さく、速く、正確になります。そういう世の中を私は頭の中に描いています。ですが、未来の事務・管理部門の姿を他の人にも分かってもらうことはとても難しいのです。それが、創業者としての悩みのひとつです。事務系のソフトウエアに強い興味を示す人はあまりいないので」