独自に開発した適性テストで人柄や価値観を解析し、企業と従業員の相性をマッチングするユニークな採用支援サービスが登場した。ベンチャー企業のミライセルフ(大阪市)が開発した「mitsucari(ミツカリ)」は、人工知能(AI)を活用して転職マッチングサービスで、社員と企業の価値観を合わせることで定着率と満足度の向上を目指している。
ミツカリは適性テストとマッチングのアルゴリズムが中核的なテクノロジーで、適性テストは米カリフォルニア大学バークレー校のキャメロン・アンダーソン教授、マッチングのモデルは京都大学の田島敬史教授が監修した。
ミライセルフの表孝憲CEO(最高経営責任者)は、外資系金融機関で採用を担当した経験から、「企業と社員の相性を客観的なデータに基づいて解析できる仕組みをつくりたい」と考え、退職し渡米。カリフォルニア大学バークレー校で、職場における心理学の第一人者であるアンダーソン教授らに学び、昨年起業した。
ミツカリは、顧客企業の社員を対象にテストを実施し、部門やチームの傾向を調べる。転職希望者に対する適性診断テストの結果と照らし合わせて、相性を分析する仕組み。採用後も顧客企業からフィードバックをもらい、マッチングの精度をさらに向上させる。
ミツカリのウェブ機能の向上に取り組んでおり、転職希望者がウェブ上で手軽に診断テストを受け、自分に相性の良い企業を見つけられるサービスの開発に取り組んでいる。
一方、法人向けサービスを本格的に始めたのは2月で、すでに80社程度が登録しているという。同ITアプリケーション会社が社内メンター制度の管理運営に活用したり、運送会社が中途採用のスクリーニングに利用するなど、ミツカリの採用が広がっているという。表CEOは「利用者の拡大を通じ、精度向上が可能で、2年後に登録会社数を2000~3000社程度に拡大させたい」と話す。