--活動が広がった要因は
「物流センターから店舗に商品を配送する通常の物流システムを、11年に食品寄付の集配送に活用するシステムとして構築したことが大きい。各店舗が期限到来前の食品を集め、物流センターから店舗に通常商品を届けた後に、空になった『バックホール』と呼ぶ戻り便を使って物流センターに移送し、セカンドハーベストが寄付食品を引き取る仕組みだ。無理なく既存の物流システムを活用することで、活動を多くの店舗に広げることが可能になった。これを応用し、昨年3月には産地直送販売で40年あまり取引のあるJA甘楽(かんら)富岡(群馬県富岡市)と共同で、販売対象にならない『規格外野菜』を寄付する活動も始めた」
◆感謝の「見える化」図る
--組織的活動に広げるために重視した点は
「ポイントは3つある。第1は、従業員一人一人が善意で無理なく作業できるように小さく始めたことだ。成功事例をじわじわ広げたことで活動に継続性が生まれた。2つ目は、食品寄付の配送で作り上げたように、既存のシステムを活用することにある。3番目は、従業員をはじめ活動に参加するステークホルダー(利害関係者)に対して感謝の『見える化』を図ることだ。従業員には日常業務のなかで社会貢献しているという意識が醸成される。『現場発』のプログラムで生まれた活動を社内に訴え、広げる意味は大きい。その一環として、店舗はもちろん物流センター、本社にも月1回『食品寄付通信』というポスターを貼り出している。年2回開いている福祉施設の子供とJA甘楽富岡との交流イベントも見える化の一つと位置付けている」