このところ、サッカーの岡崎慎司選手(30)の話題が目立って多い。所属するレスター・シティが英プレミアリーグで初優勝、「奇跡」と評されたクラブ創設133年目の快挙の立役者の一人となったからだ。
◆タイ人オーナー着目
愚直なまでに前を目指す。岡崎のプレースタイルは泥臭い。その運動量こそ「奇跡」をもたらした要因だと評価は高い。
「久しぶりに我を失うくらいうれしくて信じられない気持ち」
優勝が決まったとき、岡崎のくしゃくしゃの笑顔に思わず引き込まれた。事を成し遂げた顔がテレビに大映しされた。
ふと思った。岡崎のテレビCMがあってもいいのにな、と。華やかな本田圭佑や端正な長谷部誠の映像は目にするが、岡崎のCMは少し前、長友佑都らとビールを飲んでいたシーンしか思い浮かばない。この時期だからではなく、彼のような選手がもっと注目されていい。
調べると、タイでCM出演していた。レスターのオーナー企業、タイの免税店「KING POWER」のCMである。
タイは古くからサッカー人気が高く、なかでもプレミアリーグの人気は群を抜く。プレミアリーグが世界での放映権ビジネスに傾注、アジアを市場として重視している影響もあろう。
だからこそ、オーナーのヴィチャイ・スリヴァッダナプラバ氏は2010年、当時の日本円換算で62億円でレスターを買収したわけだ。そして「アジア系の選手を」と岡崎に着目、15~16年シーズン前、約12億円の移籍料を払い、独ブンデスリーガのマインツから獲得した。
この優勝でレスターと岡崎の価値は高まる。東南アジア展開を考える日本企業にとってはうってつけの人材だと思う。
レスター優勝を「奇跡」とクラウディオ・ラニエリ監督自ら話し、国際サッカー連盟のジャンニ・インファンティノ会長は「おとぎ話の実現」と表した。