「日常の買い物を通じて国際貢献がしたい」。小売り大手イオン(千葉市)は消費者からの声を受けて04年からコーヒー、10年からチョコレートの認証製品を販売。評判は上々で、認証カカオ取引量を20年までに12年比の10倍に拡大することを目指している。
1991年から洋服や雑貨などのフェアトレード商品を販売する「ピープル・ツリー」(東京)でもここ数年、売り上げが増加。広報担当の鈴木啓美さん(39)は「作り手の顔が見える商品を求め、大切に愛用する人が増えていると感じる」と話す。
消費者の関心の高まりは、学校教育の影響もある。07年ごろから高校の英語や中学の社会科などの教科書にフェアトレードが取り上げられるようになった。同時期、全国の大学に関連サークルが相次ぎ誕生。今では60以上の団体で学生たちが普及啓発活動を行っている。
途上国支援について学ぶため一昨年、大学に再入学した大阪市の女性(27)は「以前は商品を買うと『お金持ちだね』と周囲から冷やかされたこともあった。最近は、誰かの役に立っていることに誇りを持ち、積極的に購入する同級生もいる」と話した。