■長期取引に結び付く情報収集強化
担当者が集めた情報を精査し、取り組む活動の優先順位を明示。自身も訪問活動を行う。そんな融資戦略で実績を上げているのが、川崎信用金庫駒岡支店の原慎一郎支店長だ。
同支店が位置する横浜市鶴見区の駒岡地区は、川崎市や横浜市の中心地と近いが、工場地帯という都心部としては珍しい土地柄。そこで原支店長は事業性融資の拡大を徹底。特に設備資金のニーズは絶対に逃さず、必ず同支店が借入先の候補として検討されることを目指し、川崎信金が支店を7つのグループに分けて実施している業績評価表彰で、2015年度上期に所属グループ1位を受賞するなどの実績を上げている。
原支店長の着任当初、事業性融資の進捗(しんちょく)状況は金利競争による大口の肩代わり案件など即効性の高いものに偏っており、長期的な取引関係へと結び付きそうな設備資金ニーズに関する情報は少なかった。この状況を改善するため、原支店長は時間をかけた対応が必要となる資金ニーズにも取り組んでいかなければ、事業性融資を大きく伸ばすことは難しいと考えたという。
だが、いつ融資に結び付くのか分からない先については営業担当者の足は遠のいてしまいがち。担当者には短期的な視点を重視した活動をさせたほうが成果は上がりやすい。このため原支店長はまず、情報収集を行う態勢を強化した。