日本鉄鋼連盟が21日発表した5月の粗鋼生産量は、前年同月比0・9%減の884万1000トンと2カ月ぶりに減少した。粗鋼生産量は、4月に1年8カ月ぶりのプラスとなったが、再び減少に転じた。前月比では4・0%増だった。
減少の理由について鉄連は、「輸出は増えたが、内需は自動車向け、建設向けともに振るわない。4月の増加は、前年同期に生産調整の反動増があったためで、(前年割れの)基調は続いている」としている。
鉄連は、2016年度の粗鋼生産量を、前年度の約1億432万トンと同程度とみている。進藤孝生会長(新日鉄住金社長)は20日の会見で、「4~6月が底で、7~9月に持ち直し、下期は緩やかな需要増になるとの見通しは変えていない」と述べたが、中国の生産能力削減や消費税増税の再延期、円高など、不透明な要素も多い。
鋼種別では、自動車の車体や建物の鉄筋に使う普通鋼が、前年同月比2・6%減の686万8000トンと、2カ月ぶりに減少。強度を高める処理などを施した特殊鋼は、5・5%増の197万3000トンで3カ月ぶりに増加した。