二輪車業界で電動化の波が徐々に広がっている。騒音が少なく、自宅で充電できる手軽さを武器に若者や女性にアピール。二輪車メーカーのほか、ベンチャー企業も参入し、需要の掘り起こしを進めている。
ヤマハ発動機は20日、東京都内の生活雑貨店「渋谷ロフト」で、電動スクーター「E-Vino(イービーノ)」の展示を始めた。会場内では約3時間の充電で29キロ走る性能を説明し、来場者はスロットルを回して後輪が動く様子も体感できる。平成14年から電動二輪車を販売するヤマハ発は「ガソリン補給や補修の手間が少ない電動の良さを生かし、若者や女性の需要を喚起したい」と話す。
電動二輪車ベンチャー、バイクル(横浜市)は6月に重さが36キロと軽い電動スクーター「L6」を発売した。リチウムイオン蓄電池を使い、鉛蓄電池を使うモデルよりも約10キロ軽くした。バイクルは「女性や高齢者でも操作できる。近場の買い物などに利用してほしい」とする。
ホンダも昨年、電動スクーター「EV-Cub」のコンセプトモデルを発表。平成30年をめどに通勤通学用として国内で投入する予定だ。八郷隆弘社長は「生活に根付いた車種でEVの普及を目指すことが、二酸化炭素(CO2)削減の道だ」と語る。
ヤマハ発によると、国内の電動二輪車市場は年約6千台。二輪車市場の約1%にとどまるが、各社の新製品投入が続けば電動化が加速しそうだ。