損保ジャパン日本興亜ホールディングス(SOMPOホールディングス)は、居酒屋大手であるワタミの子会社をはじめ2社の買収により、シニアリビング(高齢者住宅)の分野で最大手となった。これを踏まえ介護事業をさらに強化するため、同事業の経営管理を行う全額出資子会社「SOMPOケア」を7月に設立した。奥村幹夫社長は、効率的な運営を実現することで「介護サービスの向上につなげていきたい」と話す。
--介護事業の市場性は
「需要の拡大が見込まれる有望な市場だ。SOMPOホールディングスは最大手になったことで、規模のメリットを生かした経営ができるようになる。買収した2社をどのような形で効率的な運営できるかが鍵を握る」
--具体的な課題は
「事務処理などバックオフィスの領域は、効率化の余地が極めて大きい。業務の標準化にも十分な投資が行われていない。400の施設を抱えるとICT(情報通信技術)を駆使したデータ化が不可欠となる。介護記録などをどんどん電子化し、将来的にはビッグデータの分析やAI(人工知能)を活用した、よりよい介護サービスを実現したい。ロボットも積極的に導入し現場の負担感を大幅に軽減する」
--力を入れていく分野は
「真に安心できる場所は自宅なので、在宅介護サービスの拡充を図る。ただ、徘徊(はいかい)や介護離職の問題など在宅は過大な負担を家族に与える。介護と医療、看護の連携や生活支援といったものをパッケージにして、在宅サービスを受け入れられる商品を開発していきたい。理想は介護付き有料老人ホームにいるようなサービスの提供だ。また、金銭的な悩みを抱えるケースも少なくないので、現場と顧客、その家族の声を反映した金融商品の開発にも取り組む」