社名残ってもシャープでなくなる? 本性むきだし…豹変した鴻海会長の豪腕 (3/5ページ)

シャープの高橋興三社長と肩を寄せ合う鴻海の郭台銘会長(中央)と戴正呉副総裁(左)。4月の調印式ではシャープ側への配慮があったが…(門井聡撮影)
シャープの高橋興三社長と肩を寄せ合う鴻海の郭台銘会長(中央)と戴正呉副総裁(左)。4月の調印式ではシャープ側への配慮があったが…(門井聡撮影)【拡大】

  • 契約を結び、握手する(右から)シャープの高橋興三社長、鴻海精密工業の郭台銘会長と戴正呉副総裁=4月2日、大阪府堺市の堺ディスプレイプロダクト(門井聡撮影)
  • 鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下入りで合意した4月の契約調印式。シャープの高橋興三社長(右)と鴻海の郭台銘会長(中央)、戴正呉副総裁が並んだ=堺市堺区(竹川禎一郎撮影)
  • 記者会見が終わり、顔を近づけて言葉を交わすシャープの高橋興三社長(右)と鴻海の郭台銘会長=4月2日午後、堺市(門井聡撮影)

 そこを見抜いた郭会長は本命視されていた官民ファンド、産業革新機構が大規模な工場整理や人員削減などを想定しているのに対して「従業員の雇用を守る」としただけでなく、「事業売却はしない」「首脳陣の退任は求めない」などの条件を提示。巨額の拠出規模とともにシャープ経営陣が鴻海支持へと傾くきっかけにした。

 ただ、郭会長は直後に「40歳以下の社員はリストラしない」と報道陣に表明するなどベテラン社員の処遇に懸念が広がっていた。それでも4月の調印式後の会見で「鴻海では毎年、業績をみて3~5%に辞めてもらっている。しかし、日本(シャープ)では、全員(雇用を)維持できるようにしたい」と述べ、雇用を守る姿勢はみせていた。

 それが、鴻海の株主総会で「悪い卵しか産まない鳥はいらない」と人員削減に言及。総会後、世界で7千人規模の人員削減があるのかと問われた戴副総裁は「可能性はある」と語った。これは、国内外で4万7千人に上るシャープの全社員の約16%に相当する規模になる。掌を返した格好だ。

 条件に掲げていた経営陣の残留も気に懸けたようすもなく、シャープの高橋興三社長は出資完了後に退任。取締役9人のうち6人が鴻海が指名した役員で、完全に経営権は握られる。

「カリスマ経営者と、日本のサラリーマン社長では役者が一枚も二枚も違ったということ」