【直球緩球】キリンビール・布施孝之社長「酒税が一本化されてもビール製法の定義次第でメーカーが困る部分出る。発泡酒なくならない」

キリンビールの布施孝之社長=東京都中野区(伴龍二撮影)
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 --個人消費に伸び悩みが見える

 「年明け以降、円高基調になり、株価も低迷している。訪日客の爆買いも少なくなった。消費税増税を先送りしたとはいえ、英国の欧州連合(EU)離脱問題など、国内外の先行き不安が景気や消費マインドに影響している」

 --今夏は猛暑予想で飲料消費も伸びそうだ

 「正直、1~6月期は劣勢だった。いろいろな要因があるが、今年の上期が厳しいのは織り込み済みだ。7月に入ってからの売り上げは好調で、わが社の新商品も続々出る。去年より市場全体で2~3%は伸びるのではないか」

 --地域限定の「47都道府県一番搾り」の状況は

 「順次出している状況だが、絶好調だ。販売目標を200万ケースに上方修正したが、手応えを感じている。手間ひまかけて各地域の農産物を使い、地域の文化や気質にあった商品をともに作るという考え方に、多くの共感をいただいている」

 --ビール類の市場は縮小傾向だ。業界再編は

 「市場の縮小がずっと続けば、いずれ4社、5社で経営していくのが多いというのは出てくるだろう。今の時点でたちまち再編はないが、競争と非競争が大事になる。物流分野の協業は各社とも同じ考えだろう。一方、各社で需要を伸ばす努力も大事だ」

 --ビール類の酒税一本化の議論も出てきそうだ

 「消費税の増税が平成31年秋に先送りとなり、(ビール類の税率を一本化する)酒税法改正の第1弾がどこでくるのかを注視している。発泡酒や第3のビールしか飲まない方はいるし、酒税が一本化されてもビールの製法の定義次第で、メーカーが困る部分が出てくる。発泡酒などがなくなることはない」(永田岳彦)