パナソニックは16日、トマトの収穫ロボットを開発し、2019年ごろに試験販売を始める計画を明らかにした。高齢化による農業の人手不足が問題になっており、夜間に自動で収穫し、昼間の作業量を減らすのが狙いだ。
産業用ロボットの市場は製造業に加え、農業や物流の分野でも拡大が見込まれており、強みを持つ高精度センサーや自動搬送の技術を組み合わせ、新たな収益源に育てたい考えだ。
収穫ロボは、高精度センサーとカメラで果実の色を認識し、熟したトマトを特定する。房の状態を解析した上で、手の機能を担うロボットハンドが、果実に傷をつけないようにもぎ取る。さらに台車まで移動して、収穫箱を自動で交換する。出荷に向け、トマトの大きさや形状などの品質をチェックする装置も開発する。
関税の削減や撤廃で海外産の農産物の輸入増が予想される環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の対策として、国の「革新的技術開発・緊急展開事業」の先導プロジェクトに選ばれた。研究開発費が補助される。
パナソニックは情報通信技術を活用し、ハウス内の作物の状態に応じて収穫時期や温度、肥料を最適化するシステムも開発する計画だ。本間義康ロボティクス推進室室長は「収穫ロボ単体では、もうかりにくい。高品質のトマトがたくさんできるシステムをビジネスにしたい」と話している。