クレジットカード業界、若年層取り込みで活路 LINEと提携、プリカで“青田買い”も

 多くの社会人が複数のクレジットカードを持つ時代。カード会社は自社のカードを長くメインとして使ってもらうため、若年層向けにさまざまな工夫をしている。年会費などの利用条件を優遇したり、プリペイドカードを発行し将来のクレジットカード顧客に取り込もうとしたり。2020年東京五輪・パラリンピックに向けて電子決済の比率を高めようとの政府の方針も背景にある。

 今春、東京都内の大学を卒業し、印刷関係の会社で営業をしている加来里穂さんは、6月に三菱UFJニコスの「MUFGカード スマート」に入会。同社が若年層をターゲットに2月に発行したカードだ。

 年会費は初年度無料。2年目以降は1000円(税別)だが、23歳までは無料。また、前年度の利用額が10万円以上なら、翌年の年会費はかからない。「業界全体の平均よりやや低い水準」(同社)に設定した。

 「スマホの料金が月7000~8000円なので、クレジット払いにすれば、ほぼ確実に翌年の年会費が無料になる。銀行系のカードは、持っていてステータス感があるのもいい」と加来さんは話す。仕事で必要なスーツやかばん、靴はすべてカードで購入。外食の支払いに使うことも多い。

 ◆ポイント確実に消化

 ポイント付与率は利用額1000円に対して4円と業界の平均並みだが、ほとんどの携帯電話やスマートフォンの料金の場合は2倍の8円に。たまったポイントは、自分で請求しなくても、年に1回、自動的に利用料金から差し引かれる。加来さんは「ポイントの使い忘れがない点も気に入った」と満足そうだ。カードを企画した堀隆一調査役は「初めてカードを持つお客さんを取り込むことで、将来、メインカードとして使ってもらうのが狙い。想定通りの顧客層に順調に拡大している」と話す。

 無料通信アプリを手掛けるLINE(ライン)の子会社「LINE Pay」と提携して若年層にアピールしようと、JCBはプリペイド機能付きの「LINE Payカード」を3月に発行した。LINE PayはLINEが提供するサービスで、登録した銀行口座などからアプリに入金し、インターネット通販などで利用できる仕組み。また、LINEの友達同士が簡単にお金のやりとりをできる。

 ◆学生でも加入可能

 カードを利用すれば、国内、海外のJCB加盟店での支払いにも使えるので、大幅に利用範囲が広がる。LINEアプリ内で簡単に申し込みができ、利用額に対して2%のLINEポイントがたまり、買い物に使える。

 クレジットカードではないので審査が不要で、学生でも加入できる。東京都内の高校生、松本優介さんは発行直後に加入。「ポイント2%は大きな魅力。コンビニで昼に弁当や飲み物を買うのに、ほぼ毎日使っている」と話す。JCBの広報担当者は「将来はJCBのクレジットカードのお客さんになってもらいたい」と期待する。