日本メーカーが、義足の開発に相次ぎ乗り出している。化学大手のJSRは29日、ベンチャー企業のSHCデザイン(神奈川県茅ケ崎市)と、3Dプリンターで作れる安価な義足を開発したと発表した。競技用では、ミズノやソニー系ベンチャーが開発を進めている。義足は一般用で一定の需要が見込めるほか、競技用の開発で得た技術を他の用途に展開できるなど、社会貢献以外のメリットが少なくない。ともに海外メーカー製が主流を占めるなか、一部メーカーは9月7日に開幕するリオデジャネイロ・パラリンピックの出場選手に提供するなど、技術力を誇示する構えだ。
JSRがSHCデザインと開発した義足は、価格を一般的な製品の2~3割に抑えた。JSRが開発した3Dプリンター用のプラスチック素材を活用。低価格なだけでなく軽量で、空港の金属探知機に引っかからず、水にぬれても壊れないなどの特徴がある。両社では「2足目」の需要をにらみ、2017年に他社の製造支援を始める計画。今後は全日本空輸が空港での実証実験などで協力する。
SHCデザインによると、義足を必要としている人は世界に約1700万人いるが、価格が30万~40万円と高く、購入できる人は限られているという。このため「海外にも広めたい」と普及拡大に意欲をみせる。