□渡辺俊一社長
■人のつながりと輪は大事な財産
--開発型メーカーに変身した経緯は
「2009年に石巻に本社機能を集約したとき、ピーク時には600人いた従業員は数十人まで減っていた。さらに開発型メーカーへのシフトを考えていたときに東日本大震災が発生したが、これを機にさまざまな分野の人とのつながりができ、開発を一緒にやった人たちとの縁が、また次の開発に発展した。人のつながりと人の輪は財産であり、これからも大事にしていきたい」
--被災地の企業として思うことは
「製品には『Made in 石巻』の文字を記している。被災地の企業が逆境に負けず頑張る姿を見せることで、従業員や地元に勇気を与えられたらと思っている」
--開発面でのやりがいとは
「委託を受けて生産していた頃と違い、開発費はかかる。商品にするまでが大変だ。ただ、自社ブランドの商品が世に出たときの達成感は本当に大きい。必要とされているものを作ることで、社会に役立ちたいという思いもある」
--今後の事業展開は
「9月には大気中のPM2.5などの微小粒子状物質の測定器を発売する。年に2、3個は新商品を出していけるようになれたら、と考えている。詳細は話せないが、やりたいことはまだたくさんある」
--震災後の商品開発で記憶に残っていることは
「小型放射線量計のポケットガイガーの開発時には、動作確認や測定値の正確性を検査するため、ネットで呼びかけたところ、オランダ国防省から協力の申し出があった。オランダ国立計量局の『お墨付き』をもらい、開発にこぎつけた。また、弱視矯正装置のオクルパッドは当初、『専用メガネをかけないと見えない広告』として利用していたが、東京でのイベントに偶然訪れた弱視治療の研究者の目にとまり、開発が始まったことだ」
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