国立科学博物館は6日、日本の文化や生活に影響を与え、未来に引き継がれるべき「未来技術遺産」として、洗浄力を高めるための酵素を配合した合成洗剤「トップ」や、日本で最も普及した16ビットパソコン「PC-9801」など16件を新たに選んだと発表した。
ライオン油脂(現ライオン)が1979年に発売した酵素入り洗剤は、「酵素パワーのトップ」と宣伝されて看板商品となった。洗浄力と環境面の安全性を確保して市場に受け入れられた。
82年に登場したNECのパソコンは漢字処理に対応。後継機を含めたシリーズは「98(キューハチ)」などの略称で呼ばれ、日本の標準パソコンとして普及した。
ほかに選ばれたのは、東北大の故八木秀次博士らが開発した世界初の超短波アンテナ「八木・宇田アンテナ」や、キャタピラージャパンが兵庫県明石市で保存する国産初の油圧ショベルなど。商品名だった「ユンボ」は油圧ショベルの代名詞となるまで普及した。少ないエネルギーで光を電気に変換する素子「CMOSセンサー」を、市販品として初めて採用した東芝の小型デジカメ「アレグレットPDR-2」や、北九州市にある旧官営八幡製鉄所の東田第一高炉も選定された。
未来技術遺産の選定は2008年に始まり、計225件となった。