■100周年を機に改革にチャレンジ
2009年、味の素は創業100周年を迎え、伊藤雅俊新社長が誕生。その後任として専務取締役食品カンパニープレジデントに就任しました。100周年に合わせて「味の素ルネッサンス」と銘打ち、「味の素」を発明、事業化した創業の精神を再確認するとともに、「うま味」が持つ、消化促進などの栄養・生理機能の啓蒙(けいもう)活動を推進。「UMAMI」は着実に世界に浸透していきました。
一方、多くの企業と同様、リーマン・ショックで原材料や為替相場変動の影響を大きく受け、また減損もあり、08年度決算は最終赤字に。危機感や一体感の薄れ、内向き志向など大企業病的な課題も感じ始めていました。
◆ロングセラー復活
バブル崩壊後の日本経済の低迷の中で、伝統ブランドも苦しく、新製品も今ひとつ。次第に守りの体質になっていました。そこで創業101年を機に、人と組織の体質強化や既存事業の強化を図る一方、次の100年の柱になる新事業、新製品の創出を目標とする「101チャレンジ」に取り組み始めたのです。
まずは働き方の改革から着手しました。開発・生産・マーケティング・営業の壁を取り除き、部門間の交流を活発化させ「タコツボ」をどんどん壊していきました。70点のプランができたら実行し、その中で100点に仕上げていくという進め方でスピードを上げ、現場での課題発見、解決を求めました。この結果、食品部門内のコミュニケーションは大幅に活発化し、いろいろなアイデアが化学反応を起こし始めたのです。