トヨタ自動車とスズキが提携の検討に入った背景には、スズキの鈴木修会長の強烈な危機感がある。自動運転など先端技術の実用化には莫大(ばくだい)な資金が必要だ。しかし、規模に劣るスズキの研究開発費はトヨタの約10分の1にすぎない。世界的な開発競争で取り残されないためには“後ろ盾”が不可欠だった。一方、トヨタはアジアに強いスズキを陣営に加え、欧米各社に比べ弱いとされる技術の標準規格作りへの対応を加速。世界の覇権争いを優位に進めたい考えだ。
「技術を共有しないと生きていけない」
スズキの鈴木会長は12日、東京都内での記者会見で、トヨタとの提携検討に入った理由をこう説明した。連結売上高3兆円超のスズキが、自動運転など先端技術の開発を単独で行うことへの“危機意識”が垣間見える。
自動運転技術の開発は、日米欧の自動車各社だけでなく、畑違いのIT企業も加わる激戦区だ。その競争で勝ち残るには、資金力とノウハウが欠かせない。
しかし平成28年3月期の研究開発費はトヨタが1兆円超なのに対し、スズキは1310億円にすぎない。人工知能(AI)や通信対応など、自動運転に必要な技術をすべて自前で網羅するのは、スズキ単独では事実上、困難だった