日産自動車のカルロス・ゴーン社長は、三菱自動車の会長を兼務して経営に関与することで早期の経営立て直しを目指す。日産を再生した手腕で三菱自を改革し、資本業務提携による共同調達や生産拠点の相互活用などの効果を早期に発揮するのが狙いだ。ただ、かつてのリコール(回収・無償修理)隠しから再生を誓いつつも、燃費データ不正問題を起こした企業体質の改革の道のりは険しく、一層の関与を迫られる可能性がある。
ゴーン氏は20日の提携会見で自身の役割を問われ、「法令順守などガバナンス(企業統治)を強化し、提携関係を円滑にする。そして益子(修社長)さんを支援する」と述べた。
ゴーン氏は1999年に45歳で日産入り。2000年3月期に過去最大の最終赤字を記録した経営危機に直面し、資産売却や人員削減など徹底的な効率化を実施した。費用削減を目指した鋼材価格の調達制度見直しは激しい価格競争を引き起こし、「ゴーン・ショック」と呼ばれた。
その結果、業績はV字回復し、16年3月期には最終利益が前期比15%増の5238億円の過去最高を記録した。自動車評論家の国沢光宏氏は「社員に目に見える目標を定め、スピード感を持って成果を挙げる経営手法は日本の組織に適している」と評価する。