レクサスのカラーデザイナーに聞く(後編) 最新技術と人の力を融合 「本物に近い色を追求」 (1/5ページ)

レクサスの人気クーペ「RC350」。カラーは「ラディアントレッドコントラストレイヤリング」
レクサスの人気クーペ「RC350」。カラーは「ラディアントレッドコントラストレイヤリング」【拡大】

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  • レクサスのスポーツセダン「IS 300h」。カラーは「ソニックチタニウム」
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  • レクサスのカラーデザイナー、宍戸恵子さん(左)とグループ長の田中彰さん

 近頃、クルマのカラーが存在感を増している。白や黒といった昔からの定番色はもちろん、最近ではピンクやオレンジ、蛍光色といった個性的なカラーも当たり前に見かけるようになってきた。カラーはブランドや商品イメージを効果的に映し出すことのできる重要なツールであり、塗料や塗装技術の進歩とともに、常に新しい色が世に送り出されてきた。今回、日本の高級車ブランド「レクサス」のカラーデザイナー、宍戸恵子さんと田中彰さんを愛知県豊田市まで訪ね、色に対する考え方や新色が生まれるまでの創作過程、トヨタ車との塗装の違いや今後のビジョンを聞いた。(取材・写真 大竹信生)

※前編から続く

 --レクサスはベンツやBMWと同じ高級車ブランドですが、大衆車とのカラーの違いはどの辺にあるのですか。

 宍戸さん「競合メーカーの詳しい事情が分からないので、トヨタとの比較になるのですが、クルマのベルトラインなどハイライトが走る部分は人の手で磨きを入れているんです。やっぱり塗装肌がきれいになると発色も上がるので、そういった点がトヨタとは大きく違います」

 田中さん「塗装の表面品質の基準もレクサスのほうが厳しいです。塗装の表面にはデコボコがあるんですね。ひどいものは“ゆず肌”と呼んでいますが、それがいろんな箇所で起きます。トヨタだけでなく世界中の自動車メーカーは、重力のある地球上で塗っている限りは避けられない現象なのですが、それを丁寧に塗ることでデコボコが起きないようになるべくキレイに仕上げます。トヨタとレクサスでは、出荷する基準のレベルが違います」

 レクサスの塗装工場では、人の手の動きをインプットしたロボットアームが、まるで職人が手塗りしているかのようにカラーを噴いているという。検査工程の最終チェックでは、塗料タンクとスプレーガンを抱えた作業員が内板部分を塗装するなど、最新技術と人の手を効果的に使い分けている。トヨタ車の品質チェックはもちろん厳しいはずだが、レクサスの場合は検査対象が約3000工程にわたるなど、高い品質を保つための基準値設定がトヨタよりさらに高いという。

「新しい色を思いついても、これまでは量産化できなかったという領域」