「20年以上前、商品は自分たちのものだと思っていたが、ブランドは顧客のものだと実感した」
主力ブランド「サッポロ生ビール黒ラベル」の販売を一時やめたとき、営業を担当していた。黒ラベルをやめるなら、契約をやめると何十件も来た。そこで顧客にとって、商品とは何か考えるようになった。その姿勢はサッポロビールの社長となってからも変わらず、黒ラベルや「エビスビール」に経営資源を集中し、ブランドを磨くことに注力した。
国内のビール市場が縮小する中、販売力の弱い西日本の営業を強化。昨年は黒ラベルが21年ぶりに前年の販売実績を上回り、着実に成果を上げた。
上條努社長から後任指名を受けたのは1カ月前で、その場で即決した。これまでの実績からも社内外で次期社長の大本命とされ、上條氏は「早くから後継として決めていた」という。
これまで不動産や食品、飲料の経験がないことが、グループトップとして不安視されるが、「経験がないのも強みで、新たな提案をしたい」と話す。ビールではシェア4位が定位置となっているが、「顧客の支持を高め、少しずつ着実に上げたい」と意気込む。
家族は妻と2人の息子。趣味はゴルフ、読書、旅行。座右の銘は「人生一度きり、今この瞬時を生きる」。