すし飯にビネガー!? 海外のトンデモ和食をなくせ 関西食品メーカーが尽力 (1/2ページ)

米国ですしに使う酢飯の正しい作り方を指導するタマノイ酢の社員ら
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 「和食」が世界中で流行する中、外国人が経営する日本料理店では伝統から外れた食材や調味料が使われることも増えている。この状況を変えようと、関西の食品メーカーが海外展開に合わせて、すしにはビネガーではなく米酢を使うことや、出汁の取り方など基本を各地で伝授している。正しい和食を定着させ、自社製品の販売強化につなげるねらいもある。(藤原直樹)

ビネガーが主流に

 カリフォルニア州など米国西海岸は日本料理店の数が多く、中でもすし店が圧倒的な人気を集める。タマノイ酢(堺市)は、酢飯に使う米酢の販売強化のため2013年に同州ロサンゼルスに拠点を設置した。

 ところが現地では「米酢を使っているのは日本人オーナーの店か、一流ホテルに入っているような高級店だけだった」と同社ロサンゼルス駐在の丸山鉄平さんは言う。

 現地に多い中国系や韓国系のすし店では米酢の代わりに、醸造アルコールを発酵させてつくるホワイトビネガーを使うことが多かった。「酸味が強く、繊細な味は出せない」(丸山さん)が、米酢の半分ほどの価格で手に入る。

 このため、同社は現地で米酢の価格をできる限り低く設定するとともに、すし店のオーナーを集めてセミナーを開催するなど「正しいすし」を伝える活動を始めている。「客はどうせ味の違いなどわからない」と話すオーナーも多いが、丸山さんは「あきらめずに地道な啓発活動を続けていきたい」と意気込む。

 一方で、家庭ですしを作る人も増えていることから、ごはんに混ぜるだけの粉末状の商品「すしのこ」も輸出。スーパーなどで販売を始めた。本来の味を知る人が増えれば、すし店に対する評価も変わる可能性がある。

 タマノイ酢は現地に工場がないため米酢は全量を輸出しているが、供給量増加と低価格化を進めるため、米国内で生産を委託できる企業を探している。

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