サイバー防御 AIで進む自動化 IoTで標的多様化 人力では限界 (1/2ページ)

 人工知能(AI)などを活用し、コンピューターがサイバー攻撃を自動で防ぐ技術の開発が進んでいる。攻撃自体が増えているのに加え、あらゆる機器をネットでつなぐ「モノのインターネット(IoT)」が本格普及すれば、攻撃対象が多様化し、人手に頼るやり方では限界を迎えるとの危機感が背景にある。

 米ラスベガスで今夏、世界初となる異例のハッキング競技会が開かれた。

 スーパーコンピューター同士が全自動で戦う「サイバー・グランド・チャレンジ(CGC)」。米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)が主催し、約60億円の巨費を投じた一大プロジェクトだ。

 CGCは、情報セキュリティーの技術を競うハッカー競技会を元に考案された。自分のチームのシステムを守りつつ、相手に攻撃を仕掛ける。異なるのは、人間が手を触れることは許されず、コンピューターが自律的に判断して動くことだ。

 決勝には米国の研究機関や大学など7チームが出場。不正アクセスに利用されるプログラムの欠陥を自動で検出し、修正することによって攻撃を防いだ。優勝したマシンはAI技術も活用しており「10分間で12個程度の欠陥を見つける能力」(チーム関係者)を誇る。人間を上回る脅威のスピードという。