税一本化で各社ビール回帰 新製品などてこ入れ 需要減に懸念 (1/2ページ)

ビール類の酒税一本化は業界に大きな影響を与えそうだ
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 政府・与党が麦芽比率などで異なるビール類の酒税を一本化する方向で調整に入ったことを受け、アサヒビールなど大手各社は、新製品の投入など税率が引き下げられるビールの強化に乗り出す。値下げされるビールに一定の消費者が回帰するとみられるためだ。ただ、低価格で根強い人気の発泡酒や第3のビールの税率は引き上げられるため、節約志向などを背景に、ビール類全体の需要が落ち込むことも懸念される。

 「『スーパードライ』と両輪になるブランドを立ち上げることが重要だ」。アサヒグループホールディングス(HD)の小路明善社長は24日の事業戦略説明会で、酒税一本化後の対応についてこう強調した。

 トップブランドの「スーパードライ」が堅調なアサヒは、今春に7年ぶりとなる新ブランド「ザ・ドリーム」を投入。さらに新製品の発売も視野に入れる。

 アサヒと並びビールの比率が高いサッポロビールは「黒ラベル」など既存ブランドに力を入れるほか、小規模な設備でつくるクラフトビールも拡販する。

 一方、発泡酒でシェアトップのキリンビールや、第3のビールの比重が高いサントリービールは、酒税の一本化が逆風となりかねない。キリンは期間限定で今年発売した、地域ごとに味が違う「47都道府県の一番搾り」を来年も継続して販売。サントリーは昨年9月に「ザ・モルツ」を新発売するなど、ビールのてこ入れを急いでいる。

、ビールの値段が高い状況は残りそう