□都市型中高層用住宅「ヘーベルビルズシステム」
■建築を体系化 均質で高精度、工期も短縮
2020年の東京五輪開催を控えて、東京都心部や周辺地域で再開発計画がめじろ押しだ。都心部への人口集中も進み、少ない土地を有効活用することが求められている。今回の「これは優れモノ」は、都心の商業用途に対応可能な中高層用のビルシステムを取材した。
◆開発の背景に人手不足
「このビルシステム開発の背景には、深刻な人手不足があります」と旭化成ホームズマーケティング本部の柳沢潔さん(48)。東京五輪に向けて、都心部では建築工事が増加しているが、職人の高齢化や熟練技能者の不足で、工事の遅れや建設コストの上昇が続いている。
同社では、1985年に3階建て住宅で初の建設大臣(当時)認定を取得し、「へーベルハウス フレックス3」を発売した。以来、自宅、店舗、賃貸住宅などで構成される3、4階中層住宅の建設でトップレベルの供給実績を誇ってきた。
建築の分野で、鉄の柱と梁(はり)が強固に接合されたものをラーメン構造といい、鉄骨造(S造)や鉄筋コンクリート造(RC造)などの近代建築で多く採用されている。
旭化成ホームズでは、ビルや集合住宅など比較的大きな建物で用いられているこの構造を住宅用に工業化した。
部材のほとんどは工場での一貫生産なので均質で精度の高いものができる。ビルにも用いられる強固な構造は、狭小な土地にも広い住居空間を確保できるというわけだ。
「建築自体をシステム化することで、旧来型と違って、現場の職人さんの腕に左右されずに、工期も短縮できます」(柳沢さん)。一般的な個人専用住宅は、3階建ての場合、4、5カ月程度の期間で完成するという。