【今週の焦点】原油減産合意なるか カギは増産主張するイラン 30日にOPEC定時総会 (1/2ページ)

 サウジアラビアやイラクなど14の産油国が加盟する石油輸出国機構(OPEC)は30日、ウィーンで定時総会を開く。各国が原油価格の回復を目指して約8年ぶりとなる減産合意に向けた協議を続けてきたが、合意の成否は増産を主張してきたイランにかかってきたといえる。

 OPECは9月の臨時総会で日量3250万~3300万バレルへの減産を決定。非OPECのロシアも協調姿勢を示した。

 総会では、政情不安で生産高が落ち込んでいるナイジェリアとリビアを除く各国が最大4・5%を減産する案を協議する見通しだ。

 供給過剰による油価の低迷が国家財政を圧迫しているOPEC産油量1位のサウジを中心に、各国が減産に応じる構えをみせる。これに対し、同3位のイランは経済制裁で失った市場シェアを奪還しようと、減産の適用除外を求める。同2位のイラクは、アバディ首相が減産を受け入れる姿勢を表明したものの、最終方針は流動的とみられる。

 総会が決裂すれば、失望売りが出て油価は軟化に転じ、「トランプ相場」でにぎわう株式市場などに水を差しかねない。

 減産合意に至れば、油価上昇の加速が予想される。

 原油の大半を輸入に頼る日本では、資源開発などに関わる企業の業績を好転させる可能性があるほか、株価も上がる期待がある。

 一方、ガソリンや灯油のほか電気代が上がり、プラスチックの原料になるポリエチレンなど石油化学製品の製造コストが上昇する。日銀が掲げる物価2%目標の追い風にはなるが、物価が急激に上昇すれば、消費者が節約志向を強めることにもなる。