経団連、来年の春闘方針原案を固める 4年連続で賃上げ求める

 経団連は30日までに、平成29年の春闘に向けた経営側の春闘の指針である「経営労働政策特別委員会報告」の原案をまとめた。収益の拡大した企業は、28年を上回る「年収ベースの賃金引き上げ」に前向きで踏み込んだ検討を望むとし、会員企業に対し、4年連続での賃上げを求めている。

 原案では、重視すべき考慮要素として「デフレからの脱却と持続的な経済成長の実現に向け、経済の好循環を回すという社会的要請」を強調し、4年連続の賃上げの必要性を説明している。その上で賃金の引き上げ方法は、定期昇給の実施や、従業員の基本給を一律に引き上げるベースアップ(ベア)に限らず、さまざまな選択肢が考えられるとした。ただ、引き上げの数値目標は明示しない。

 安倍晋三首相は16日の働き方改革実現会議で4年連続のベア実施を要請しているが、経団連としては将来のコスト負担につながる懸念があるとして、28年春闘同様に、ベアに限らない多様な手法を活用する姿勢を示している。

 このほか、賃金引き上げの選択肢として、税制改正で議論が進む所得税の「配偶者控除」と連動し、企業が従業員に支給する「配偶者手当」の減額や見直しを提案し、その分を、子育て世代の支援に向けた手当を拡充することなどを例示。親の介護などで仕事を辞める「介護離職」を防ぐための手当や働き方の改革などの検討も盛り込んだ。

 経団連では来週開催する会長・副会長会議、12月後半の経営労働政策特別委員会で議論し、来年1月に取りまとめる。