サウジは合意優先で「盟主」維持 イランは強気貫き、増産勝ち取る 米金融市場は歓迎 (1/4ページ)

 8年ぶりとなる石油輸出国機構(OPEC)の減産合意は、交渉を主導してきたサウジアラビアがイランに歩み寄り、増産を例外的に認めたことで決着した。サウジは合意を優先して盟主の体面を保ったものの、イランはサウジの厳しい財政事情を見透かして強気な態度を貫き、サウジから譲歩を引き出せた。(古川有希、田辺裕晶、ワシントン 小雲規生)

 サウジとイランは、それぞれイスラム教のスンニ派とシーア派の中心地で昔から宗教対立があるほか、今年に入り国交も断絶。イランが欧米から経済制裁を受けていた間、欧米原油市場でのイラン産原油の穴埋めはサウジ産でまかなわれていたなど何かと因縁深い。

 サウジは歳入の約7割を原油輸出に頼り、油価低迷は財政を圧迫する。だが、ライバルに台頭した米国の新型原油シェールオイルとシェア争いを続けた結果、油価は1月、12年ぶりに1バレル=30ドルを割り込む事態に。2016年の財政赤字は国内総生産(GDP)比で13%に達する見通しだ。

 油価低迷は株式上場を予定する国営石油会社サウジアラムコの価値も左右するため、調達した資金で世界最大規模の政府系ファンドを創設する計画も狂う。