野村不動産 高価格帯の分譲戸建て強化 東京都心で1億円超も

埼玉県新座市の「プラウドシーズンひばりヶ丘テラス」。今後は東京都心部での開発にも力を入れていく
埼玉県新座市の「プラウドシーズンひばりヶ丘テラス」。今後は東京都心部での開発にも力を入れていく【拡大】

 野村不動産は、高価格帯の分譲戸建て事業を強化する。東京都心部で1億円を超える物件の開発に本格着手。年間60区画程度を安定的に販売する計画だ。分譲戸建て市場は低価格を売り物にした地域ビルダーの動きが活発な半面、高価格帯の供給は少ない。このため野村不動産は分譲マンション「プラウド」のブランド力を武器に、事業を優位に進めていく考えだ。

 同社は年間約600区画程度の分譲戸建てを供給している。これまでは郊外が主流だったが、今後は東京都世田谷区や目黒区など都心部で、高額物件の開発を推進する。事業全体に占める高価格帯のシェアは1割程度を目指す。

 戸建て住宅の場合、高価格帯の領域は注文住宅へのニーズが高いという印象が強く、市場全体を見渡しても分譲住宅の供給体制は手薄だった。しかし、注文住宅は打ち合わせで手間がかかり、完成まで長い時間を要するといった理由で敬遠されるケースも少なくない。このため、分譲住宅に対する潜在需要は大きいという。

 また、人件費や資材価格の上昇などでマンションの販売価格は高止まりしている。これを受け、「選択肢の一つとして分譲戸建て住宅を加える層が増えている」(住宅営業三部の石井康裕部長)点も高価格帯に力を入れる理由だ。

 同社は分譲戸建て事業を「プラウドシーズン」シリーズとして展開。「プラウドシーズン町田ガーデン」(東京都町田市)、「同ひばりヶ丘テラス」(埼玉県新座市)、「同鶴瀬セントラル」(同三芳町)という最新物件が次々と即日完売しており好調だ。多彩なプランニング力や「プラウド」というブランド力に加え、30~60区画で構成された住宅街を形成することで「街並みを購入したい」という顧客層に訴求できていることも人気の要因となっている。

 不動産業界では、三菱地所レジデンスが年間販売計画を倍増し300区画まで拡大する方針を掲げるなど分譲戸建て事業を強化する動きが相次いでいる。