商品開発などの権限委譲を通じて、経営判断のスピード向上と効率化を図る狙いだ。「三洋ブランドのテレビやスマホの投入も現地の判断によるもの」(同社)だったという。
パナソニックインドを率いるのは、インド人のマニッシュ・シャルマ社長。韓国サムスン電子などで手腕を発揮し、パナソニックでもインドでテレビやスマホ事業を成功させた。今年4月に40代前半の若さながら、アジア人で初めてパナソニック役員に就任した“やり手”社長だ。
パナソニックは現在、インドに洗濯機とエアコンの生産拠点を持つが、冷蔵庫は外部に生産を委託している。津賀一宏社長は「自社製で評価されるプレミアム商品を増やす」としており、インドで開発拠点の立ち上げに続き、高価格帯製品の工場を新設することを決めた。
二正面作戦で対抗
インド市場では、競争激化による採算悪化から日系電機メーカーが次々と撤退した。大手8社のうち現在も個人向けの事業を続けているのはパナソニックと日立製作所、ソニーの3社だけとなっている。
代わって存在感を高めたのが現地企業や中国、韓国勢で、主要製品を現地生産するなどして価格を抑えシェア拡大に不可欠な中間層をうまく取り込んでいる。
こうした中、パナソニックは知名度が高く価格を抑えた三洋ブランドで中間層を取り込みつつ、パナソニック製の高価格帯製品で富裕層を獲得する「二正面作戦」を展開する戦略だ。