専門デスクを開設し、旅行プランに応じた離発着を調整、機内での食事もリクエストに応じる。宿泊先など旅行全体の企画も引き受ける。気になるのは採算性だが、JTBグループでは事前調査で記念日での旅行需要やペットとともに客室で過ごすニーズの存在なども含め、「勝算はあると判断した」(JTBグループ幹部)という。
平成25年からの2年間で訪日客数は約1000万人から倍増し、旅行消費額も2倍以上となる約3兆5000億円に達したが、最近は陰りも見え始めている。7~9月は前年同期比2.9%減。牽引役だった中国人観光客の「爆買い」が円高や規制強化で鈍化したほか、リピーター客が増加し、訪日客の消費行動が食や体験型などにシフトしている。
こうした中で注目されるのが富裕層向け観光だ。
世界の旅行者数のうち富裕層の割合は約3%だが、旅行消費の約25%は富裕層によるものとされる。全世界の国際旅行者数は2015年の11.8億人から30年に18億人に達すると見込まれ、富裕層の旅行消費ペースが現在と変わらなければ「爆買い」の鈍化を補ってあまりある伸びが期待できることになる。
需要取り込みの動きは既に始まっている。森トラストは運営する宿泊施設について、米高級ホテルチェーンのマリオットへのブランド替えを進めており、平成29年には計6カ所のブランド替えが完了する見通しだ。百貨店大手の大丸松坂屋百貨店は年間100万円以上の免税買い上げ実績のある訪日客に通訳アテンド(要予約)の特典がついた専用カードを発行する。