昭和シェル石油は、太陽光と水と二酸化炭素(CO2)だけでメタンやエチレンなどの炭化水素を効率良く精製する新たな人工光合成技術を世界で初めて開発した。燃料電池に使用される「ガス拡散電極」を活用、炭化水素への太陽光エネルギー変換効率は0.71%で、自然界の植物の光合成と同レベルだという。地球温暖化問題への対策が世界規模で「待ったなし」となるなか、温室効果ガスであるCO2を気体のまま有用な資源に変換する今回の技術は、地球温暖化防止の観点からも注目される。
今回の開発は、太陽光エネルギーによって、水とCO2から有用物質を直接合成する研究開発の過程で実現した。
CO2は化学的に安定しており、炭化水素などへの変換は難しいとされている。
日本では近年、太陽光をエネルギー源とする人工光合成技術によってCO2を有用な物質に変換する研究が進んでおり、CO2をいったん水に溶かしてから変換する方式を採用している。だが、CO2は少量しか水に溶けないため、資源への変換が困難という課題があった。