経営再建中の東芝は27日、米国での原発事業をめぐり平成29年3月期決算で数千億円規模の減損損失を計上する可能性があると発表した。最終損益は1450億円の黒字になる計画だった。米原発事業では昨年も2500億円規模の減損処理を実施しており、2年連続の巨額損失となる。抜本的な経営の立て直しが迫られそうだ。
東芝は昨年末、米原子力子会社のウエスチングハウスを通じ、米原子力サービス会社「CB&Iストーン・アンド・ウエブスター」を買収した。資産価値を見直したところ、買収時に想定した価値を大幅に下回ることが分かり、多額の損失計上が必要と判断した。
具体的な損失額は「精査中」とし、来年2月中旬までに確定する。
綱川智社長は27日夕、東芝本社で記者会見を開き、「全ての関係者に迷惑をかけ、心よりおわびする」と謝罪した。責任について問われると、「責任は痛感している」とし、「今は処理に真摯(しんし)に当たることに集中する」とも答えた。
東芝は、不正会計問題に伴う事業見直しなどで28年3月期は最終損益で4600億円の赤字に陥った。29年3月期は主力の半導体メモリーが好調で今期業績予想の上方修正を続けてきたが、半導体と並ぶ再建の柱に据える原子力事業が足を引っ張る事態となった。